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漫画

【漫画】ギャンブル一切なし!名言続出の「最強伝説 黒沢」を紹介

 

強伝説 黒沢という漫画がある。

あの「カイジ」や「アカギ」を生み出した福本伸行の作品だが、ギャンブルに関わる描写は皆無。建設会社に勤める44歳独身男性、黒沢の人生を描いた内容である。

アメトーークの「福本伸行先生にシビれた芸人っ・・・・・・・!」でも紹介され、ゲスト出演した福本伸行先生も「一番思い入れのある作品」とコメントしている。

序盤は孤独な黒沢の日常が描かれるのみだが、
中盤以降は色々あってケンカ最強の中学生とタイマンする羽目になったり、ホームレスを味方に暴走族と抗争したりとエキサイティングな展開も訪れる。

タイトル :「最強伝説 黒沢
作者      : 福本伸行
連載期間 : 2003年~2006年連載
巻数      : 全11巻 

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なんといってもこの漫画、一話から圧倒的に面白い。
人恋しさに溺れる黒沢の悲哀があまりに濃密に描かれている。

その情けなさは見てられないものがあるながら、
身に覚えのある部分に訴えかけてくる。

以下、一話の内容を少しだけ紹介したい。

 

 

 

 

 

「12月10日」。

黒沢が勤める「穴平建設」事務所のカレンダーにはその日にマルがつけられ、その下に「黒沢」と書かれている。それは他でもない黒沢自身が書いたものであったが、それが何の予定を示すかは同僚の誰からも尋ねられなかった。

そして迎えたその当日、いつも通り仕事を終えた黒沢はのろのろと一人チェーンの居酒屋に向かい、注文したなんこつ唐揚げを白ライスの上に乗せて、ジョッキの生で流し込んだ。

メニューは老眼でぼやけて見え、腰は今日も痛い。
ただいたずらに歳を重ねたことに対する虚しさを感じる中、吐かれた黒沢の心の声は、

 

「誕生日なのに…」

 

である。そう、今日は黒沢の誕生日だった。
マルをつけたのも、「この日、何の日なんですか?」と尋ねられるのを密やかに期待していたのだ。

もうこれだけでも見てられないキツさと悲しみがあるが、まだ追い討ちがある。
結局3時間も飲んだ後居酒屋を出た黒沢は、道端で職場の同僚たちとばったり遭遇する。

自分以外のメンバーで飲んでいたことを知らされ動揺する黒沢。
「わざと外したわけじゃないっすよ! ほら、タイミングってあるじゃないですか!」と慌てて弁明する若手の同僚。

そんなこんなで解散した後、黒沢は現実を思い知る。
44歳にもなって誕生日など祝ってもらおうと思ってしまった恥ずかしさ。
一人が惨めでなく、人恋しく感じてしまうことこそが惨めであると。

全てがたまらなくなって、帰り道行き着く先は、友人である「太郎」の元。
黒沢は太郎に語りかける。

「太郎…?
みんな… どうしてるんだ…?
この数多の灯の下にいるのは… 幸せ者ばかりってわけじゃねえだろ…!」

焦燥…痛み…腐敗…喪失…徒労…つまり…
なにかとんでもない勘違いをしているんじゃないか…?っていうこの不安感…
みんな… 本当にどうしてるんだ…?」

(『最強伝説 黒沢』一話より)

この話をじっと聞いている「太郎」は、工事現場の交通整理をする人形である。
その人形に勝手に名前をつけた黒沢は、夜な夜な路上で働く太郎の元へしばしば話をしにきているのであった。

どうだろうか。
読んでいて非常にキツいものがあるが、
自分の人生もキツいから共感できるのである。

福本作品の中でも「人間臭さ」の部分により強くスポットを当てたこの作品。
カイジやアカギの「名言」と言われるようなフレーズたちがお好きな方はきっと楽しめると思う。
必読である。

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