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雑記

オーバーオールを着て鼻先に絵の具をつけたような絵描きが金持ちだったら嫌である

前記事から真逆のようなことを今回は言うと思う。

素朴で温かみのある絵柄が特徴のイラストレーターがいた。
動物とか太陽とかそんな絵が多かったのだが、純朴な子供が自由気ままに描いたような、そんな作風だった。
その方はお顔を公開されていないので想像だが、オーバーオールを着て鼻先に絵の具をつけて笑っているような方のイメージ。

インスタグラムなどで作品を公開されていて、私もたまにチェックして癒されていた。

ただ、しばらくインスタを見てない時期があったので久しぶりに開いてみると、
その方は前よりかなりブレイクしていた様子で、次第に作品(絵)の通販なども始まりどうやら好評のようで軒並み「SOLD OUT」であった。
へえ、と思いその値段を見ると、数万円~数十万の値段がつけられており、面食らってしまった。

何を驚くことがあるのかといわれたら、後ろめたさでモゴモゴしてしまうのだが、
最低を承知で正直に言うと、「子供が描いたような絵柄でめちゃくちゃ儲けようとしている」と思ってしまったのだ。

これは、大変失礼なことである。
作風と値段設定は無関係であるはずだし、収益を得ようとすることはなんら不自然なことではない。
それまで趣味っぽく活動していたクリエイターが、
収益が出るシステムに変えたとき「えー」と声をあげるオーディエンスがいかに害悪で、全ての活動の足を引っ張っているかは理解しているつもりである。

でも。
実際に「えー」と言ってしまうのはダメとして、こんな風に「思ってしまう」だけなら仕方ない、とも思う。
だってそうである。ただでさえみんな他人が儲けるのは嫌なのに、
「のびのびと、感性で好きなものを作ってます」感の強い作風の人は、金儲けとはなんとなくイメージが遠いから、そのギャップが大きくなってしまう。
オーバーオールを着て鼻先に絵の具をつけている人が普段はロレックスをつけていたらなんだか嫌である。

だからこそ、こういった作風の方はこの「えー」の声と戦っていかなければいけないんだろうな、と思う。
いわば宿命である。

私は気持ちの落とし所を探して、こんなふうに考えた。
美術館で見る「この落書きみたいなもんがなぜ3億円もするのか」という絵。
私はあれが3億円にたどり着くまでの過程を今見ているのかもしれない。

素人を威嚇するかのような「分かりやすい技巧」を使えば、こういう奴らはとりあえず排除できる。
それでもその作風を貫くことは、相当なストロングスタイルなのかも、と思った。