「ブレイクしたいなら、曲は最初の〇〇秒で勝負」
というようなフレーズをたまに聞くが、これは真理である。
もし、オリジナル曲をyoutubeなどネット上でバズらせたいとする。
そうなると、それはもう意気込んで渾身の曲を作り上げる。
しかし、
視聴者側はどこぞの誰が作ったか知らん曲を律儀にフルで聞いてはくれない。
かるーい気持ちで再生ボタンを押し、せいぜい30秒ほど聞いてビビっとくるものがなければ、他の動画にジャンプである。
テレビと違い、どんな者でもその戦いにエントリーすることはできるものの、
アピールに与えられた時間は非常に少ない。
従って、そんな中ですぐにスキップボタンを押させないためには曲の初めの方に心を掴むのが得策である。
しかし。
「では、そんな教訓に習って、最初の30秒聞けば心を掴める曲を作るぞ!」
と意気込んだとして、
これも実は成功の確信がない。
イントロを15秒ほど聴いて大したインパクトがなければ、
サビ辺りと思われる箇所までスキップされる恐れがあるのだ。
視聴者はトータル30秒聴いてくれるだけで、
それが曲のどの部分かはこちらで決められない。
せっかく30秒かけた最高のイントロを作ったのに、これではダメじゃないか。
と思われるあなたへ。
確実に、絶対に聞かれる箇所がある。
最初の3秒である。
「イントロに大した魅力を感じずにスキップ」癖のある人でも、
さすがに3秒くらいは聴くだろう。
そんな、はじめの3秒で心を掴む曲たち、紹介していく。
1.No Buses – Pretty Old Man
No Busesは2016年結成、メンバーの平均年齢21,22そこらというピチピチのバンドであるが、そんなことよりこの曲。
ゲホ、ゲホ、ゲホ、からのダムッである。
飛沫に厳しい2021年現在、
このパフォーマンスをステージ上で行えば賛否の否の方が押し寄せるであろう。
音楽的テクというよりは「仕掛け」や「アイデア」で魅せるこの3秒。
曲をフルで聴かせるための一次審査、二次審査をすんなりと突破している。
そしていわずもがな、
こんな仕掛けだけで終わるわけではなくフルでしっかりかっこいい曲。
必聴である。
2.Rub Rabbits – 天国と地獄
(※音量注意)
テッテーテレテレテッテーテレテレ
テェー↑↓テェー↑↓テェー↑↓
からのラビッ
である。
たった3秒でこのパニック感。
人は窮地に立たされると全てがスローモーションになるというが、
この3秒の中に、いろんな人の様々なハチャメチャが詰め込まれてるのではと妄想したくなる。
こちら、2004年にNintendo DSソフトとして発売された「きみのためなら死ねる」の続編にあたるゲームの挿入歌である。
恥ずかしながら両作とも未プレイのため詳しくは語れないが、
アーティスト名「Rub Rabbits」はゲーム内に登場する怪しい団体の名前であり、実在はしないらしい。
私が小学生くらいの頃、ものすごいインパクトをしたタイトルのゲームがあるなと思っていたが、まさかミニゲーム詰め込み系の内容とは思っていなかった。
3.MIYAVI vs KREVA – STRONG
デレッデーデレンデーレレー デレッデーレレー
からのオーンである。
vs、とあるように
稀代のギタリストMIYAVIと、日本のHip-hopシーンを牽引するKREVAの二者による作品である。
この掛け合いだけで、これから始まるセッションの上質さを予感させ、スキップボタンを押させない。
スキル×スキルがぶつかり合うような作品だが、お互いを邪魔することはないので、
スレッスレのところで並走しているようなイメージだろうか。
4.神聖かまってちゃん – 8月の駅
ドンダンドドダンドドダンドルルルルルダン!
チッ(舌打ち)
である。
私はどうやら、楽器の音からの〇〇(ワンフレーズ)という3秒が好きらしい。
ここまでのチョイス全てがその形なので、チョイスの基準がブレそうであるが気にしない。
youtuberだのなんだのが表に登場する前から、
ネット出身バンドと呼ばれた「神聖かまってちゃん」。
個人的にこのバンドのイントロには絶大な信頼を置いていて、
要するにイントロがいい曲ばかりなのである。
夏の暑さのせいだけでないけだるさ、やるせなさを演出する3秒。
そこを越えると、
ケルト的雰囲気のある音色で奏でるメロディーが流れ出す。
家の前でチャリを漕ぎ始める、その始動の3秒。
「えいやっ」と漕ぎ始めるときが一番パワーが必要で、そこを越えるとちょっとだけ爽快な時間が待っていたりする。
何かが始まる予感が詰まっているのである。
以上、4曲チョイスしたが、
入れるか迷った曲の形態として、
サビ始まりの曲というものがあった。
こういったような。
しかし、曲を選びながら、
先に述べたような「予感」を感じさせるの3秒というキーワードが、
自分の中でしっくり来ていた。
サビ始まりの曲は予感を感じるも何も、いきなり答えが飛び出てきているようなイメージである。そのため除外した。
youtubeでブレイクを狙うにしろ、
最初の〇〇秒が大事だからってそこだけに旨味を凝縮しては本末転倒である。
フルで聴いても良い曲である前提として、
その予感を上手に感じさせるのが、良い3秒なのである。