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創作 アイデア

嫌いな曲でも3回聴けば口ずさむ

行りのあの曲が好きではない。
好きではない、はずなのに無意識にメロディを口ずさんでいた。
こんな経験はないだろうか。

おそらく、youtubeの広告やらコンビニの店内放送やらで流れていたのを、
脳が勝手に覚えてしまったのだろう。

「歌ってしまったのも好きなんじゃなくて、
それを口ずさむ人たちにつられただけ」

と、いうような言い訳を私ならしたくなる。
無意識であっても、好きでもない曲を口ずさむのはなんだか悔しい。

この「無意識に」というのがポイントであり、
「実は好きなんじゃないの?」と、冷やかされたような気持ちになる。

ただ、今回話したいのは「本当は好きかどうか」ではなく、
嫌いなものであっても、何度か触れていると段々と「食える」ようになるという話である。

過去記事でも何度か書いている↓が、
2021年現在、一度聴いた(触れた)だけで何かしらインパクトを残せないと、手早くブレイクするのは難しい。

「香水/瑛人」があなたには絶対作れない理由、5分で説明します
ブレイクしたいなら、曲は最初の何秒で勝負? イントロ開始3秒で心を掴む曲4選  (未読の方、こちらもぜひ)

逆に言えば、初っ端でバチンと人々の脳に残れば、あとは以外にもイージーな展開が待っている。その理屈として、今回のテーマである。

実際の手順を説明しよう。

まず、少ない目撃者の前であっても良いので、
とにかく大きなインパクトのある作品を残す。

すると、インパクトを受けたうちの何割かはそれが「好みのインパクト」であるので、その感動をみんなに伝えようとおすすめする。
そして、好意的に受け取った人がまた多くの人におすすめする。

そうやって輪が広がっていく。

、ここまでの流れだと、「口コミ」というものの仕組みを説明しただけになる。
問題は、そのインパクトが好みでなかった人たちである。

インパクトはあるが好みではないもの、
というのはすなわち「イロモノ」として認定されてしまう。
なんの特徴もなくレベルの低い作品より不快に思うかもしれない。

しかし、
周りでは常に「このインパクトがあなたにとって好きか嫌いか」のジャッジが行われている。
「最高だからとりあえず聴いてみて」という人間が曲をスピーカーで流し始めるのである。

するとおのずと2回目、3回目の視聴を余儀無くされる。
今自分と同じように聴いている人たち(もしくは世間)は、
この曲をどうジャッジするのかまだ分からない段階なので、
大きい声で「こんな曲流すんじゃねーよ」とは言えない。

そして、ここで予期せぬ化学反応が起こってくる。

この曲、自分は嫌いだが、
こんなに多くの人が『好きか嫌いか』のジャッジに立ち会っている。
もしかして自分も好きか嫌いか再考する価値があるものなのか…?」

というマインドがちらつくのである。

インパクト、または話題性のない作品ならば起こらなかったこのうねり。
議論の規模、
そしてテーマが大きくなるほど意見に慎重になるのが人間という生き物である。

そして、うねりが起こっている時点で、
この曲になんらかの力があるのを認めざるをえなくなる。

その結果、
①「なんか話題になってるっぽいし、言われてみればいい曲かも…」
という意思ペラッペラの人
②「二回目、三回目聴いてみて、最初は気づけなかった魅力に気づけた」
という素直な人

この二つのグループが「好き」派に加わるのである。

私の述べたい理屈はこんなところである。
あまりに有名なフレーズで「愛の反対は無関心」というのがあるが、
「嫌い」と視聴後も思わせている時点で、
作り手はファーストアタックに成功しているのである。

なんでもいいから人の記憶に残る、というとかなり泥臭く思えるが、
個人的にはこのアイデア合戦の中で未開拓を見つけただけで評価には値すると思う。
(もちろん、最近多い炎上商法だの逆張り商法のような、
モラルまで捨てるような手法は何回見ても「嫌い」のままである。)

結論、表現者、またはクリエイターの範疇で、
嫌いだと思っていた人に鼻歌を歌わせれば、
大勝利である。