物に当たる行為というのは最低である。
どれだけ苛立ちがピークに達しても、
ぶっ壊れるほどドアを強く閉めたり、
壁をグーでどついていいという理由にはならない。
そもそも暴力行為である上、
自分は感情のコントロールができない未熟者だと認めるようなものである。
分かってはいた。
分かってはいたが思春期の頃の私は、時にそれをやめられなかった。
舞台は全て自分の部屋であったのだが、
私が実際にやっていた八つ当たりで最も思い出深いものに、
消しゴムを地面に思い切り叩きつけるというのがあった。
八つ当たりにそんな行為を選ぶ理由の一つとして、消しゴムは「壊れる」ということがないためである。
どれだけ渾身の力を込めて叩きつけようが、
壊れるどころか元気よくバウンドするだけ。
このバウンドというのが二つ目の理由になるのだが、
バウンドして壁に当たってはまたバウンドして…
という具合に部屋中を消しゴムが跳ね回るのが面白かったのだ。
それはもう元気よくバインバインと壁やら床やら天井やらを跳ね回る。
(筆者画)
この八つ当たりには多くの欠点があり、
①跳ね返った消しゴムが別の物に当たって壊してしまう可能性がある
②目に見えないほど高速で飛び回るため最終的に消しゴムを失くす
③運が悪いと自分に当たる
などが挙げられる。
記憶に残る後悔としては①によって、
小学校の修学旅行で買った置物(ラッパを吹くピエロ)にあたり、
ヒビが入ったことである。
まあ何にせよ、こんなことはよろしくない。
忘れてはいけないが、
消しゴムも壊れないからと言ってこんな風に扱われたら可哀想である。
しかも自分の意識とは別に他の物まで壊してしまうなんて、
まるで敵の能力者に操られ、味方に攻撃してしまう悲しき戦士のようである。
私に投げられた消しゴムもきっと、
「みんな…逃げてくれ..逃げてくれ..!」と泣きながらその身を弾丸にしていたことだろう。
そして私にとって一番の損失がiPhoneの破壊である。
それに至った経緯だが、
私は「大乱闘スマッシュブラザーズ」通称「スマブラ」なるゲームをしていた。
このシリーズをご存知でない方に簡単に説明すると、
マリオやピカチュウ、カービィのような任天堂のキャラクターが、
一つのゲーム内で対戦するという夢のゲームだ。
このゲームの中に登場する「ネス」というキャラクターが諸悪の根源となるのだが…
後編へ続く。
→スマブラで友達に勝てなくてiPhoneを破壊した話(後編)