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雑記

スマブラで友達に勝てなくてiPhoneを破壊した話(後編)

前編からの続きである。
スマブラで友達に勝てなくてiPhoneを破壊した話(前編)

初めに大前提として話したいのが、

こういった対戦ゲームというのは、
一人で遊んでいるとき、つまりコンピューターと対戦するときはさほどイラつくことなどない。

本当にイライラが募るのは、生身の人間と戦うときである。
生身の人間といっても、普段顔を合わせるような友人であったりもするし、
今はネット通信対戦でどこかの誰かを相手に戦うこともできる。

友人や兄妹などと戦う場合は、普段顔を合わせているだけにリスクが伴う。
さっきまでは一緒に仲良く遊んでいたのに、
イライラが募りリアルファイトや関係の悪化に発展する恐れがある。

また、ネット対戦もリスクがあり、
「匿名でどこかの誰かと戦う」という性質上、必然的にマナーが悪くなる。
例えば、相手に「このザコwwwww」といったような心ないメッセージを送ったり、
対戦していて「もうこれは負けるな」と思ったらゲーム機の電源を切ったりなどである。

こういった相手に悪質メッセージを送ったりするようなことを「煽り行為」と呼び、
楽しい場に水を差す原因、そしてネット対戦環境で大きな問題となっている。

では、私はこの「煽り行為」によってiPhone破壊に至ったのか?というと否、
正式なフェアプレーの末に破壊したのである。

それは当時学生だった私が、
親しい友人とオンライン対戦で戦っているときの出来事であった。

画でいうと、こうではなく

こういう状況である。

友人が選んだのは「ネス」という少年のキャラクターで、
「念力」つまりサイコキネシス(Psychokinesis)を武器に戦うキャラクターであった。

この少年の使う技には頭文字にPsychokinesisの頭文字である「PK」がつくのだが、
その中でも「PKファイヤー」なる技が私のiPhoneを破壊したのである。

PKファイヤーは相手の動きを拘束する技で、
ネスが出した「PKファイヤー」の火柱に巻き込まれると、
ダメージを受けながらしばらく動けなくなる。

一定時間が過ぎるとその拘束も終わるのだが、その頃には次の「PKファイヤー」を打ち込まれ、次の拘束が始まっているのである。

それをずっと続けられ、
気づいたらもうひっくり返せないくらいに戦況が不利に傾いているのである。

この技はあらゆるプレイヤーの中で対策法が求められた。
なぜなら圧倒的にストレスフルだからである。

「PKファイヤー」とYahooなりGoogleの検索欄に打ち込めば、「PKファイヤー うざい」
「PKファイヤー 強すぎ」などと怨念の込められた予測変換が出てくる。

ここで皆に説明したいのが、我々は爽快感なるものを求めてゲームをしている節がある。

もしそれが思春期であるなら、行き場のわからない苛立ちを解消するためにコントローラーに手を伸ばしているのかもしれない。
また、謎解きゲームであれば、その脳を絞り切った末に見るエンディングの感動を求めているのだろう。

それなのになぜ、私はずっと火柱に拘束されているのだ?

と冷静になり、我に帰った末に苛立ちが爆発する。

かくゆう私も、友人の使うネスのPKファイヤーに苛立ちを溜められていた。
その苛立ちにトドメを刺し、iPhoneにもトドメを刺した原因が、

これはルール違反でも煽り行為でもなんでもない、という事実である。
ゲームの中で定められた正式な一つのプレイングであり、
なーんにも悪いことなどしていない。

実際、この技の攻略法なるものは存在しないわけではなく、
要するに「やられる方が悪い」のである。

にも関わらず文句を言うのは、
野球でパーフェクトピッチングをした投手に「カーブを投げるなんてずるいぞ!」と抗議するようなものである。
カーブの対策をとっていなかったこちらが低レベルであり、
相手に極めて有効だと分かった戦法を多用するのも当然の行動である。

しかし私はカーブ、そしてPKファイヤーが許せなかった。

弱者は強者に対し、
なんらかの理由をつけてそのスタイルや行為自体を乏しめたがるものである。

そして、
そんなもんずるいじゃねーか!と思いながらも、
その影にほんの少し隠れる「いや、対策できてない自分が悪い」という気持ちと悔しさなどが交わり、

私は傍に置いていたiPhoneを机に叩きつけていた。

 

 

 

軽蔑して頂いて構わない。


繰り返すが、物に当たるというのは、
いかなる理由があっても許されない行為である。

また、よりによってiPhoneに当たるというのが我ながら不可解である。
スマホ依存者の溢れかえる2021年現在の価値観においても、
そんな大切で高価なものをぶん投げるというのは自分にとってもデメリットが大き過ぎる。

実際、私のiPhoneは大きなヒビなどは奇跡的に入らなかったものの、
使用すると本体がとんでもない高熱を帯びるようになってしまった。
しばらく我慢して使ったが、これはいかんと機種変更するハメになった。

この失敗は私のなかでも大きな後悔を呼び、
以降、このような愚かな八つ当たりはしなくなった。

本気でイライラするのは真剣な証拠であるが、
それは小さな子供くらいに許されることである。
息抜きやストレス解消を目的にプレイするならば、そこを間違っては本末転倒である。

ちなみにその友人とは今でも仲良く繋がっており、
たまにスマブラで遊ぶこともある。

なんならつい先ほども「そんなことがあったよな」という話をしていたのだが、
あれはいつの話だったかと確認したところ、
私は高校生の頃だと勘違いしていたが、
すでに20歳くらいになった大学生の頃の話であった。

今はそんなこと絶対にしないとはいえ、
20歳にもなってこんなことをしたというと人間性を疑われそうなので隠滅しようかと迷った。が、リアルをお届けするため、そして自らへの戒めとしてここに残します。

もうしません。