何一ついいことなかったこの町に
沈みゆく太陽追い越してみたい
心の声メロディ化計画とは (1曲目 お別れの歌-never young beach)
※上の記事を読まなくても本記事は楽しめます。参考まで。
私には中学からの長い友人がいる。
中学高校と同じ学校に通い、社会人になった今でも連絡は取り合っている。
わざわざ報告などはしないが、私は彼を親友だと思っている。
気が合うのはもちろんのこと、
映画や小説、音楽とかお笑いだとか、
彼は私よりずっと多くの数の芸術作品に触れていて、色々と影響も受けた。
自分の将来のため黙々と努力する姿も尊敬していた。
そんな彼は高校生の頃、現在の学校に入ったことを後悔するような発言が多かった。
理由は、進路の問題や集団の雰囲気など、様々だった。
学生生活を長く一緒に過ごしながら、私はその話をよく聞いていた。
彼の思考が元々ネガティブ寄りなのは知っていたが、
ずっとそういった話をされて少々気が滅入ることもあった。
しかし、共感できる部分もあったので、半分くらいの気持ちで聞いていた。
そして昨年くらいだったか、当時のことを彼がふっと謝った。
あの頃は不満の話に付き合わせることが多くて悪かったと。
私はもうなんとも気にしてしなかったので、そんなことないと返しただけだったが、
それで当時のある記憶が蘇ったのだ。
それは当時の私が、彼の話を聞いてたまに思っていたことだった。
自分で選んだ今の人生を本気で後悔している人がいる。
こんな道選んだのは失敗だったと思う人がたくさんいる。
でも、そこで出会った人たち全員まで否定することはできないはずだ。
つまり、どんな後悔のある今の日々でも、
「会えてよかった」と思う人が一人くらいはいるはず。
もし、私の親友が「選び間違える」直前まで人生を巻き戻してしまったら、
彼の人生から私も消えてしまうのだ。
それは私にとって悲しいことだ。
彼にとっても同じであってほしいとどこか思う節があった。
もちろん、こんなこと口にしたりはしなかった。
THE BOOM 「風になりたい」
何一ついいことなかったこの町に
沈みゆく太陽追い越してみたい
初めてこの曲を聴いたのは小学生の頃だったと思う。
当時は歌詞の深いところまでは考えてなかったが、それにしたって、
「何一ついいことなかったこの町に」というフレーズが妙に印象的だった。
今考えても、和製サンバと言われる曲の中に現れるフレーズにしてはやや現実的でドキッとさせられる。
一般的にこの曲の最も印象的なフレーズといったら以下だろう。
天国じゃなくても 楽園じゃなくても
あなたに会えた幸せ 感じて風になりたい
このフレーズも私は大好きである。
そして、「何一ついいこと…」のフレーズとも矛盾するようでしていない。
「この町」というのは送った生活そのものと言ってもいい。
それは天国や楽園のような煌めいたものでは決してなかった。
しかしその中で「あなた」と出会えたことは幸せだ。
だが、あなたと出会い過ごしたのもきっと「この町」の中のことだ。
だったら結局、「何一ついいこと…」なんて言えなくなってしまいそうだが、、、
と、そんな風に難しく考えてしまいそうなギリギリのところで、
この曲はその開放感を持って打ち消ってしまう。
そんなところも含めて本当に憎らしくて、最高な曲だと思う。
1995年、私が生まれた年にリリースされた本曲だが、
なんと2021/07/12にmvがyoutubeにアップされた。
おそらく初めてのことである。
(MVに映る街並みこそが「この町」の一部だろうか。)
その驚きと喜び、そしてふと思い出した友達のことについて、
少し書きたくなった最近であった。