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音楽コラム

「香水/瑛人」があなたには絶対作れない理由、5分で説明します

あらゆるアーティストがブレイクを勝ち取ろうとする中、
瑛人は「ドールチェアーンドガッバーナー↑のその」の一節を思いついた時点で勝ちであり、売れるべくして売れたのである。

言うまでもなく、このフレーズが強烈に耳に残る。
サビだけを聴いたとしても、
この曲が好きか嫌いか、まだ判断している最中の脳に乱入してくるのである。

ではなぜ耳に残るか?

ずばり
アホくさいからである。

これはディスではない! 良い意味で力が抜けてしまうために耳に、印象に残るのだ。

まず、サビでフル尺のブランド名をぶち込むなど並の勇気ではできない。
そもそもAメロで「LINE」という永続的でない恐れのあるワードを使うあたり、作詞におけるリラックス度が違う。

死んでもブレイクさせたるぜという奴にこの歌詞が選べるだろうか。
ブレイクを見込んだ上でこの歌詞を書けるなら、宇多田ヒカルや米津玄師を優に凌ぐ才能である。

そしてアホくささを増長させる理由が、「ドルチェアンドガッバーナ」の歌い方である。

ここで作曲のルールを一つ紹介させてもらうと、
歌詞にいわゆる横文字を入れる場合、「さらっと、音を伸ばさずに」歌えるようにするのが基本である。

なぜか?
そうしないとダサいからだ。

例えばレミオロメンの「粉雪」のサビ、
「こなーーーーゆきーーーー」
のところを英訳である
「ぱうだーーーーすのーーー」に変えるとどうだろうか。

クソダサいでしょう。

だがこの曲はその禁忌を堂々と犯している。
Dolce & Gabbana
本来こんなにかっこいい絵面のワードなのに、
瑛人にかかれば「どーるちぇあーんどがっばーなーである。

正直これはルールとして覚えるほどのことではなく、
これがカッコよくないというのは誰しもに元から備わっている価値観だ。

そのためこんなにも伸ばして歌われるとガクッとなるのだ。

ここまで言うとなんだか私が性格の悪いように勘違いされるので、
話を転換していくと

この時代、耳に残るワンフレーズを生み出すだけで勝利も勝利、大勝利なのである。
素晴らしい作品ながら埋もれている曲なんて星の数ほどあるが、
なぜ埋もれるかと言うと、「ちゃんと聞かないと良さに気づけないから」だ。

一回でいいから聴いてみて!
一回でいいからライブを見てみて!

などお願いしても、なかなかハードルが高いのが2020年である。
そんな中、
全く手間を取らせずして記憶にパラサイトしてくる曲というのが稀に生まれてくる。

SEKAI NO OWARI「dragon night」

ど肝を抜かれる。
「ドラゴンナイトておまえ…」と思っているうちに
「ムーンライト」「スターリースカイ」「ファイアーバード」がなだれ込んでくる。

一回聞くだけで「ドラゴンなんたら、とかいう曲」くらいまでの記憶なら100人中100人に植え付けられるのである。

あとは曲の深なる部分、魅力に気づいてもらうだけ。
香水なら女々しいながらも心の底で集める共感性、
dragon nightは大正義と言えるようなメロディのキャッチーさなど。

結論、2回目聴いてもらえるためにあらゆるクリエイターが頭を絞っている中、
無意識にシードでそこを突破できる瑛人は強いのである。

どうですか、真似できないでしょう。