終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために(THE BLUE HEARTS – 終わらない歌)より
THE BLUE HEARTSの「終わらない歌」は、残念ながら3分5秒で終わってしまう。
でも聴き終わったあとには、穏やかな風が吹く様な、そんな幸福感に包まれる。
考えてみればそうだ。
「今がずっと続いて欲しい」なんて思える人間は、きっと幸せの中にいるに違いない。
THE BOYS&GIRLS/パレードは続く
「終わらない歌」を聴くと、一緒に思い出すのがこの曲である。
THE BOYS&GIRLSは2011年に札幌で結成、そして現在も在住のロックバンドである。
本曲は2015年リリースのalbum「バックグラウンドミュージック」に収録。
アルバムの全11曲の最終曲として収録されている。
こういった曲を最終曲にされるだけで私はグッときてしまう。
アルバムの最終曲というのは、コミックバンドが真面目な曲を入れたり、「感動ものバラード」が多いバンドが手拍子できそうな曲を選んだりと、さまざまな遊び方があるのだが、これは他のどれとも言えない。
曲名の通り、「まだ続くよ」と言われているようだ。
「まだ続くよ」、そう言われて思い出す記憶がある。
小さい頃、私がアニメの「あたしンち」をみていた頃の話だ。
30分番組の「あたしンち」は、
OP→エピソード①→cm→エピソード②→cm→ED
という構成だったにもかかわらず、
OP→エピソード①→cm→エピソード②→cm→ED
この赤文字の部分、cm入りの前の3秒くらいで、あたしンちの一家全員が「まだまだ続くよ!」というセリフをコールするカットが入るのだ。
そう言われると、素直に「ホント⁉︎」と思ってしまうものであった。
30分番組の22分目くらいに言われるので、どう考えても「まだまだ続く」わけはない。実際、ed前に1分弱くらいのミニコーナーはあったような気もするが、番組はきっちり30分で終わっていた。
では、あたしンちファミリーは嘘つきだろうか。
いや、そんなことはない。
むしろ、私たちにささやかな喜びを与えてくれたのである。
「まだまだ続くんだ、やった」と思った時、自分はこの時間が好きなのだと認識させられる。
「まだまだ続く」と言われたときどう思うかで、人間の正直な気持ちというのはわかるのだ。少なくともその時の私は嬉しかった。
パレードは続く 雪虫が飛ぶ街を歩いた
パレードは続く 雨は上がってた
パレードは続く 明日からまた頑張らなくちゃ
パレードは続く 聴こえてくるのは 君の歌(THE BOYS&GIRLS – パレードは続く)より
えらく話が脱線してしまったが、この曲も同じ喜びを与えてくれる。
この記事を書くにあたってMVを見返していると、たいして天気がよくないということに初めて気づいた。
だって雪の白さ以上に、メンバーの表情から映る景色までどうも輝いて見えていたのだ。
曲のメロディ、コードは非常にシンプルで、大きな展開やギミックもない。
それがどうしてか安心感につながるのだ。
この幸せが続けばいい、つまり現状を脅かすものの存在などなくていい。
そんな願いとシンクロしているようにすら思い込んでしまう。
アルバムは終わろうとしているが、まだまだ続く。
けど、実際には続かない。
けど、それでいい。
先ほど以下の様に書いた、
「『まだまだ続く』と言われたときどう思うかで、人間の正直な気持ちというのはわかる」
というもの。
「今」が続く中で、自分が幸せだと気づけた人間が過ごす残りの時間というのは、何よりも煌めいているものである。
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